Vol.17   Hans J. Wegnerと工房

Vol.17 Hans J. Wegnerと工房

デンマークの家具デザイナーHans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)は20世紀を代表する家具デザイナーとして知られています。

彼と職人とは切っても切れない関係性でした。様々な工房と一緒に名作家具を作り上げてきました。今回はそれらの工房を紹介していきたいと思います。

 

Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)

ウェグナーの初期の名作の多くは、この工房から発表されました。

ヨハネス・ハンセンは高品質な木工家具を手作りで製作する工房で、ウェグナーと密接な協力関係にありました。

・この工房の作品は評価が高く、ヴィンテージ市場でも高騰しています。

主な作品 JH501(The chair)JH513(Arm chair)

Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)

現在も、ウェグナーの作品の多くを製造しているメーカー。

1950年以降、ウェグナーと長期にわたる協力を築いた。

現在では、彼のデザインの中でも最も人気のあるアイテムを数多く生産。

主な作品 CH24(Y チェア)CH23(ペーパーコードダイニングチェア)

GETAMA (ゲタマ)

・昨年(2024年)までGEの名でデイベッドやソファなどを作り続けていた。が、ファクトリーが昨年火事により版権をカールハンセンへ売却との噂も。

・元々マットレスメーカーのためクッション系に強くシンプルで構造的、そして座り心地の良い設計のものを多く製造。

主な作品 GE290(ソファ) GE258(Day bed)

Andreas Tuck(アンドレアス・タック)

主にウェグナーのテーブルなどを手掛けた家具メーカー。

Carl Hansen & SønJohannes Hansenと比べて少しマイナーではありますが、重要なパートナーの一つ。

主な作品 AT312(ダイニングテーブル)AT15(コーヒーテーブル)

C.M. Madsen(シー・エム・マドセン)

デンマークの家具メーカー。

高品質な木工家具を専門とし、1940〜60年代にかけて活動。

木工の技術に優れ、ウェグナーをはじめとした著名デザイナーの作品を製造。

Carl Hansen & SønやJohannes Hansenほど有名ではないが、職人技と仕上がりには定評がある。

主な作品 W2(ダイニングチェア)

RY Møbler (アール・ワイ・モブラー)

・箱物家具を専門に製造。

・ブックケースやキャビネットをシンプルながら緻密な木工構造で、取手などにWegnerらしいこだわりが感じられる。

主な作品 RY20(ブックケース) RY25(サイドボード)

AP Stolen (エー・ピー・ストーレン)

・布張り作品が得意な工房で、張りぐるみの作品を手がけている。

主な作品 AP19(ベアチェア) AP46(オックスチェア)

 PP Møbler(PPモブラー)

ウェグナー晩年の作品や、より複雑で手作業を必要とする椅子などを製作。

例えば、PP503(The Chairの後期版)やPP701など。

工芸的なディテールを実現できる熟練の家具工房として、ウェグナーに信頼されていた。

主な作品 PP19(ベアチェア復刻)PP501(The chair復刻)

 

他にも多くの工房と協力して多くのも名作を生み出してきたWegnerは職人にも尊敬されていたのではないかと思っています。デンマークでは「変わり者」「こだわりの強い職人」として知られていたようです。仲間内では誠実で情熱的な人物として尊敬されていたのではないでしょうか。

 

Wegnerの作品は決して安くはないですが、美術的に高くなっているものはまだ多くありません(中にはありますが・・・)そしてこれらの家具は直して使えば100年以上もつものも多いと思います。是非、お気に入りのWegnerの家具を工房を気にしながら見つけてみてください。

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