Heima
Art Book 『cairn by shigeta kobayashi』
Art Book 『cairn by shigeta kobayashi』
これは、遭難についての記録である。
妻との間に子どもを授かった時、
自分自身の中で何かが消えていくような感覚があった。
何を考える訳でもなく、また何を考えられる訳でもなく、
視線をただ窓の外に置いていた。
漠然と「個」という事について考えていた。
そもそもその定義にどのような意味があったのだろうか。
あるいは、世界と自分とを繋いでいるものとは何であったのだろうか。
とにかく一人になる事で向き合った。
見知らぬ町の通りから霧でもやがかった山の道まで、目的地のない歩行を続けた。
白夜は時間感覚を狂わせ、慣れない野営は内と外の境界をあやふやにし、
GPSが示す道でさえ時に疑うようになった。
そして、気がつくと思考するよりも先にシャッターを押していた。
異言語の会話、誰もいない裏庭、テントを揺らす風、なんの変哲もない地面。
次々に現れる些細な物事が、現実だと思っていた基準を変えていった。
今だに進むべき道はわからない。
しかし、確かにここまで歩いてきた。
その証のようにこれらの写真は存在している。
道標はいつも世界と自分の間に立ち現れるのかもしれない。
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アイスランドを旅した記録を基にした写真集「cairn」
2018年に訪れたアイスランドの自然や日常、人々と大地とのバランスなど陰影と物語が表現されている。
霧でもやがかかった山道を歩く情景を自分と重ね合わせ、晴れてほしくもあり、遠くまで見えないでほしくもある。
自然と向き合い、自分自身と向き合い見つめ直す。「cairn」は、静かなインスピレーションを与えてくれる作品です。またいつかアイスランドに行きたくなる。Heima もそう感じました。
アイスランドに心惹かれる人、想いを馳せる人へ。
size W150 H220 T13
送料 税込¥220-
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